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必死にあがいた”ママ”の少女時代/小説『約束のネバーランド〜ママたちの追想曲〜』

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本作も前記事(『約束のネバーランド〜ノーマンからの手紙〜』)と同じく、友人から借りて読みました。
正直、ママたちについては鬼の件があったのであまり良い印象を持っていませんでした(根は良い人だけど非情になれる。善人というわけではない意味で)。
しかし、この『約束のネバーランド〜ママたちの追想曲〜』(原作:白井カイウ、作画:出水ぽすか、小説:七緒)を読むと、彼女たちへの感情移入がすごく、胸が締め付けられました!読んでいて手汗の出てくる恐ろしい展開、希望を持つも、とても悲しい。そんなお話になっています。
こちらも楽しめたので友人には本当に感謝です…!

※ネタバレが多少あります、ご注意ください。

まずは本編のコミック『約束のネバーランド』5巻までを読もう

コミック『約束のネバーランド』(原作:白井カイウ、作画:出水ぽすか、集英社)は、週刊少年ジャンプで連載中の作品です。

内容はこんな感じ。

孤児院GF(グレイス=フィールド)ハウスに住む、エマやノーマン、レイなどの子どもたち。彼らは育ててくれた”ママ”イザベラと平和に暮らしていました。あるとき、エマたちが施設を巣立つ子を追いかけたことがきっかけで、怪物の鬼という存在を目撃しました。さらに”ママ”が怪物の食料として自分たちを育ててきたことも知ります。もう家族を失いたくないエマたちは、生き延びるために脱獄をすることを決意。しかし、脱獄の計画を阻むために立ちふさがる”ママ”イザベラ。そしてイザベラを蹴落として自らが”ママ”になる野望をもつ、補佐の”シスター”クローネ。それぞれの思いが渦巻く中で、エマたちの脱獄計画は動き出す――。

アニメ化されて現在放送中。「このマンガがすごい!」1位も獲りました。

小説『約束のネバーランド〜ママたちの追想曲〜』

本作も、原作の外伝的作品です(小説執筆者:七緒)。

キャラクターや世界観の知識があること前提で物語が進んでいきます。
まだコミック版を読んでいない人は、先にコミック版を読んでおくことが必要です。

そう言うとハードル高そうですが、コミック版は、現在(本記事作成時点)12巻まで出ています。
しかし、読んでおく箇所は最初の方の5巻までです。なのですぐ読み終わると思います!

イザベラとクローネの幸せな少女時代と、無慈悲な世界

本作は、”ママ”イザベラの章と
ママ補佐の”シスター”クローネの章の2本立てです。ふたりがそれぞれ主役になっています。

  1. 星空とレスリーのリスト・・・イザベラの過去
  2. 自由の空を求めて・・・クローネの過去

イザベラとレスリーの話は、5巻37話にあります。ふたりの姿を確認できます。
クローネは、3巻23話。あの本部に居たときの競っていた光景、最期が載っています。

1.イザベラとレスリーの叶えたいリスト

イザベラの心の支えになっていた”歌”と、レスリーという子との物語を辿っていくお話です。
レスリーの容姿は、コミック版5巻37話で確認できます。

以下、内容をざっくり。

少女時代、イザベラはレスリーたちとハウスで幸せに暮らしていました。しかし、ハウスから巣立つことが決まったレスリー。イザベラは、レスリーの叶えたいリストが達成できるようレスリーを引っ張っていきます。
お互い惹かれ合いつつ、未来を夢見て、再会を誓って別れるふたり。

・・・星空の下で、レスリーが奏でるヴァイオリンの描写は読んでいてすごく美しく感じました。音色がこちらまで聴こえてきそうな、引き込まれる最期です。

そして時間は経ち。
イザベラがなぜ柵の向こうに行ったのか。また、そこで知る世界の真実。他の少女たちを蹴落としてでも生き残ることを選択したイザベラ。でもその絶望の中で崩折れそうになる彼女の姿。

・・・レスリーとの話だけでなくそんな姿をみると、愛おしいという気持ちがこみ上がるものがあります。あの燃えさかるハウスと”グランマ”との対峙の後、イザベラはどうなっちゃったんでしょうね。

2.「生きるか、死ぬか」クローネと受け継がれるもの

こちらはクローネの話です。コミック版3巻23話に同じ描写があります。
養成所からの脱獄計画や、少女たちの蹴落とし合い・騙し合い・裏切りの展開はシリアスなサスペンス色があり、とてもハラハラさせられます。

この話は、”ママ”の補佐の”シスター”候補になるために、監獄で同じ境遇の少女たちと蹴落とし合っていくという過酷な内容になっています。
クローネが再会を果たすかつての姉・セシル。
クローネは彼女と脱獄計画を立てるがーー。

・・・この「自由の空を求めて」で恐いのが、出荷されたときに生き残る選択をしても死は常にそばにあることです。少女たちと競い合い、力不足だと即出荷(鬼の餌)。脱走すればもちろん鬼の餌。・・・今まで穏やかに笑い合って暮らしていたのに、この落差よ。辛い。

話で印象的だったのは、クローネが嘘を見破るための方法を学んだきっかけです。コミック版でクローネがエマ&ノーマンと腹の探り合いをしていたとき、「態度や視線などで相手の言わんとすることがわかる」(意訳)と言うシーンがありました。これはセシルの忠言だったんですね。
その後エマたちも意識するようになったのを見ると、死んでも、思いは次へ受け継がれていくんだなぁと少し救われた気がしました。

あとはセシルが思いを吐露するシーン。これには思わず泣いてしましました。受け継いでいくものと、いけないもの。この約束のネバーランドの世界は残酷ですね・・・。

さいごに

イザベラもクローネも、選択したのは鬼に食われず”生き残る”こと。
彼女たちの今の地位までの葛藤と決断がよく描かれていると思います。

暗い話もありますが、読後感はけっして悪くはありません。
『ノーマンからの手紙』に引き続き、本作もとてもオススメできる一冊になっています。
気になっている方はぜひお手にとってみてください!
それでは、最後までお付き合いいただきありがとうございました。

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