(画像:『BLACK BIRD「秘蔵の開発ノート」』より)
インディー系のゲームを遊ぶ人は、
この黒い鳥のシューティングゲームを見たことがあるかもしれません。
本書『BLACK BIRD「秘蔵の開発ノート」』(Onion Games)は、その『BLACK BIRD』の開発資料や「ここはこんなことを意識した」という当時の振り返りコメント、開発者たちの対談が載っています。
全体で45ページくらいの分量と短いですが、
その分、内容が濃く凝縮されています。
内容は、「設定や攻略本では物足りず、もっとアイディア段階や開発過程を見たい!」と言うゲーム開発者(やそれに興味のある人)向けの本だと思います。
読んでいてとても刺激を受けたので、一部抜粋しつつ紹介していきます。
まさに”開発ノート”といえるふつうは表に出ない内容
本書では、グラフィック・アイディア・音楽を中心に紹介。
対談では触り心地を良くするためのエンジニアによる工夫も話されています。
(画像:『BLACK BIRD「秘蔵の開発ノート」』より)
上の画像は、ゲーム内で使われたドット絵アニメーションを並べたものの内の1つ。
キャラクターが生き生きとしているのは、キャラ1人1人にこんなに枚数を割いて、いろんな表情をさせているからなんでしょうね。
(画像:『BLACK BIRD「秘蔵の開発ノート」』より)
次にボスの制作過程について書かれています。
体の大きいボスをつくるのに、
まず最初に、ボスの攻撃パターンやコリジョン(当たり判定)が分かるよう、モック(仮絵で遊べるもの)を作ってやっていったそう。
しかしこの状態で『面白いかどうか』を判断するのって大変ですよね。
(15ページ)
”グラフィック”でゲームの面白さ(受ける印象)が変わるかと思います。
でもゲームの根幹をおろそかにしてグラフィックでごまかすと、”絵は良いけどなんか面白くないゲーム”になってしまいます。
惑わされないために、まずゲームシステムからチェックする。
この工程はやはり必要なことだよなぁと改めて感じます。
(画像:『BLACK BIRD「秘蔵の開発ノート」』より)
アイディア段階のスケッチもふんだんにあります。
何度も落書きを繰り返してました。
(27ページより)
中には開発の数年前から書いていたゲームイメージも。
内容がまとまらずとも描きだして練っていく。
そんな様子を見ることができるのですごく刺激を受けます。
(画像:『BLACK BIRD「秘蔵の開発ノート」』より)
他にも上画像のような『BLACK BIRD』のテーマ曲の楽譜もあります。
サウンドをつくる人にも興味深いのではないでしょうか。
ボツとなったグラフィックも載っているのですが、それらはどれも本素材級の出来。
圧倒的物量にただただ気圧されます。笑
ただ、このボツコーナーにはコメントが無かったのが少し残念。
ボツ理由はもしかしたら、ゲーム内にあっても無くても変わらない(むしろあったらプレイヤーに混乱を与える)ものだったからか、単に実装コストに見合わないものだったのかは分かりませんが。
少しボツ理由を見てみたかったです。
とこんな感じに、本書はゲーム開発者やそれに興味のある人向けの本になっています。
全体で45ページと分量が少なく思えますが、内容が凝縮されていて濃く、満足する一冊になりました。
ちなみにアイディアスケッチを書かれた木村祥朗さんは、「それもラブ、これもラブ」でおなじみ(?)の『moon』(1997年PlayStation用ゲームソフト)のゲームデザイナーです。
プロのアイディアスケッチを読める素晴らしい本なので、気になる方はぜひ。良い刺激を受けます。
補足:ゲームの購入方法
ゲーム自体の内容はここでは省略して、ニュース記事↓をご紹介。
本書のゲーム『BLACK BIRD』は、
PCのSteamと、Switchのダウンロード版で遊ぶことができます。
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